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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第220段:医師の仕事の細分化  

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6月になって日本医師会から「実践・小児診療」という本が贈られてきました。
勉強のために日本医師会の会員全員に年間数回さまざまな医学の特集の本が送られてきます。
この本の「序」は日本医師会会長の坪井栄考先生が書かれていますが、その中の一部を紹介します。
若干の誇張はあると考えますが、誤解されても良いと考えましたので紹介します。

「・・・・小児科医の中でも、さらに細分化された専門性が要求されるようになり、たとえば小児の発熱に対応できない小児科医も出現している。一方、少子化によって子どもの人数が減った両親にとって、子どもの健康は最大の関心事であり、子どもが病気になった場合に、専門性を持った医師による医療を求める傾向が強くなってくる。・・・・・」と書かれています。

「小児の発熱に対応できない小児科医は困る」といいながら、専門家を求める風潮は日本全国どこにでもありますね。
それは小児科だけでなく内科でも循環器科や消化器科、腎臓、糖尿病などとどんどん細分化されてきます。
医師の仕事の細分化が進むと、
たとえば眼科では
「私は右眼の白内障の手術の専門家ですから、左眼の手術は出来ません。」とか、
整形外科なら
「申し訳ありませんが、左手の手術でしたら得意ですが右手ですので私には無理です。」などという話が出てきそうですよ。
実は医師の間では以前からブラックユーモアとして語られている話ですが皆さんはご存知でしたか?

私の所にも人間ドックの結果などを見てくださいと持ち込まれる方がありますが、ドックの担当の医師が内科の中でも循環器科、消化器科、呼吸器科など診療科が異なると検診結果に対する評価が異なっているようです。
統一できないかといわれてもちょっと出来そうにありません。
ここらあたりにも医者を選ぶのも寿命のうちという言葉が絡んでくるのでしょうか?
しかしドックの医師は選べませんから、これは天命かなあとも考えます。

こんな話はここ10年から20年ぐらいの話しだろうと思うと大間違いで、以前にも書きましたが、100年以上前のイギリスの医学雑誌にも載っているようです。
専門家を求める心理、その一方で幅広く診察してくれる一般医、両方欲しいですね。そうなるとまた受診するほうは迷いますね。

最近は仕事の細分化は医師だけでなく看護師も細分化してきました。
医師と同じように高度な知識が必要となり循環器の専門の看護師や、糖尿病の専門の看護師なども出現しています。
糖尿病に関しては日本全体である程度の能力を持つ看護師や栄養士などの資格試験が出現しています。

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