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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第290段:「減塩、禁煙、禁肥満」  

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訪問診療に出かけてみると道路の端で水道管の埋設工事をしていました。
益田市の向横田地区での水道の新設工事です。
今までこの地区は水道ではなく高津川の伏流水を利用しての井戸水生活だったということを思い出しました。
50数年前に隣の神田地区で簡易水道の工事が始まった頃に同時の施行に同意されなかった地区でした。
多分その頃は家庭での水の使用量も今とは格段に少なく水道の必要性を当時の地区の方々が強く意識されなかったのではないかと思います。

健康もこんな社会基盤の整備と同じような傾向があり、本当に不都合が生じるまでは健康について真剣に考えないという方が少なくありません。
痛みや辛さが感じられないと自分が不健康だということに気がつきにくく、健康診断を受けて、要治療とか精密検査が必要と指摘されても無症状なら大丈夫、何年も同じ状態が続いていても悪くはなっていないと放置している方が案外多いようです。

今年の4月から法律が変わり、健康診断の内容もその後の取り組みも大変化が起こります。今までの健診の判定基準よりも厳しい基準が採用され、通称メタボ、メタボリックシンドロームの概念を導入した特定健診という名前の健診と、その後の特定保健指導と呼ばれる生活指導が始まります。
生活習慣病の中でも特に糖尿病を意識した検診項目が増えています。

「肥っていることは生活習慣病の予備軍」という考え方から肥満者を減らす保健活動が新たに加わるということなのです。
身長、体重、それに加えてウエストのサイズを測って、血液検査の結果や喫煙習慣の有無などを加味して生活習慣の是正の必要がありそうな方々には、食べ物の量や内容、禁煙、歩行や運動の状況まで指導されるという、多くの医師でさえ考え付かなかったような事業が展開されることになりました。

かつて肉体労働するから塩は欠かせないと教えられていた国民に『減塩』を指導して死因の上位を占めていた高血圧関連の疾患は劇的に減りました。
現在、死因の第1位のガンを含め生活習慣病対策の一環で、『禁煙』も取り組まれています。
もちろん、メタボ対策の中でも喫煙者は指導の対象者になっています。
東京都など東日本の各地ではすでにタクシーが全面的に禁煙になっていますが、タクシーの中にタバコの煙や臭いがあることは、症状があるのに病気に気がついていないというのと同じような状態だと考えています。
『禁煙』に対する意識が低いのと同じように『禁肥満』もこれから認知が始まります。
肥満が悪いということも何となくは知っているけれども、そこまで悪者扱いされているのかと改めて認識してください。

『減塩』、『禁煙』に続いて『禁肥満』です。

『いわみ談話室』より

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