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お酒の飲み方と糖尿病の発症率に相関、米コホート研究が示唆

約5万人の中高年男性を追跡したコホート研究で、アルコールの摂取パターンと2型糖尿病の発症リスクとの間に相関があることがわかった。
週に5回以上軽くお酒を飲む人では、全くお酒を飲まない人よりも2型糖尿病の発症率が12年で5割低いという。
研究結果は、米国糖尿病協会(ADA)の学術誌であるDiabetes誌10月号に発表された。

飲酒が糖尿病に対して保護的に作用することは、既に複数の観察研究から示唆されている。
しかし、その理由には諸説がある上、食事と共に飲酒するかどうかや、アルコール飲料の種類(保護的な作用があるとされる赤ワインか否か)など、バイアスとなりうる要素に関する解析は不十分だった。

米国Harvard公衆衛生大学栄養学部のKatherine M. Conigrave氏らは、40〜75歳の健康な男性医療従事者5万1529人を対象としたコホート研究「Health Professionals Follow-Up Study」の参加者を追跡。
飲酒量、飲酒パターンと2型糖尿病発症との相関を調べた。このコホート研究は「Physicians' Health Study」に対抗する形で1986年にスタートしたもので、参加者の6割を歯科医、2割を獣医、1割を薬剤師が占める。

その結果、解析対象となった4万6892人のうち1571人が、平均12年間の追跡期間中に2型糖尿病を発症した。
1日平均のアルコール摂取量で7群に分けて解析すると、全くアルコールを飲まない人よりも、エタノール換算で50g以上飲む人の方が、2型糖尿病の発症率が36%低くなることがわかった。
アルコールの摂取量と糖尿病発症率には正の相関があり、年齢、体脂肪指数(BMI)、喫煙歴や運動習慣、高血圧、糖尿病の家族歴など、糖尿病の発症に寄与しうる因子で補正した後も、相対発症率は50g以上の飲酒者で39%低くなった。

次にConigrave氏らは、1週間に平均何回飲酒するかでグループ分けして、同様の解析を行った。すると、週に1〜2回飲むが1日平均量は1杯未満の(全く飲まない人を含む)群と比べ、週に3〜4回飲む群や、週に5回以上飲む群では、飲酒量に関わらず補正後の2型糖尿病発症率が有意に低くなった。
1日平均の飲酒量も含めて解析すると、糖尿病の相対発症率は、「週に5回以上飲むが1日平均量は1杯未満」の群で0.48と最も低くなった。

研究グループは、食事と共に飲酒するか否かや摂取するアルコール飲料の種類についても同様の解析を加えているが、糖尿病の発症率との間には相関がみられなかった。
以上からConigrave氏らは、

1.食事しながら飲むかどうかや、アルコール飲料の種類に関わらず、飲酒そのものが糖尿病の発症を抑制する。

2.1度に大量に飲むよりも、週に何度も少量ずつ飲む方が抑制効果が高い−−と結論付けている。

このレポートだけで私はお酒が糖尿病を予防する効果があるとは断言しません。
しかしすごい研究をする人がアメリカにはいるのですね。

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