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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第89段:インフルエンザはソメイヨシノが散るまで  

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1998年〜1999年にかけての冬のインフルエンザは、その前年1997年〜1998年の冬よりも患者の 発生数が少ないようです。
マスメディアの過剰報道とも思えるような報道には毎回あきれています。
(良識を欠いた報道に関係者は怒っています。)

98〜99年の冬のインフルエンザの流行状況は厚生省の感染症サーベイランス事業では1月下旬に観測定点(医療機関が指定されています)あたり33.86人のピークで、前年97〜98年のピークよりも1週間早かったものの前年が56.92人でしたから流行としては昨年より小規模でした。

トピックスのページでも紹介していましたが、2年連続で100万人を超えるインフルエンザの流行はここ10数年では確認されていません。

ですから過去の経験から今年が昨年を上回るような大流行にはならないと書いていたわけです。
全国的な予測はあたりましたが、私のところは患者数は過去最高でした。

インフルエンザはいつ頃まで流行するのでしょうか?

私が仕事をしている地域では4月になってもインフルエンザの患者さんが受診されています。
過去の例からも4月にはいっても散発的な流行があり、桜のソメイヨシノが散るころまではインフルエンザの注意期ですよとお話しています。
12月から4月の上旬まで が流行期だということを忘れないでください。

ところで桜のソメイヨシノこの木はなぜ沖縄から北海道にまで分布しているかご存知でしたか?
動物や植物で同じ品種が南北にこれだけ広く分布しているのはめずらしいのですね。
実はソメイヨシノという桜の品種は江戸時代に東京の染井町で大島桜と彼岸桜を人工交配した種類の桜です。
花の色が鮮やかなこと、花びらが大きく、散り際がよいなどということに加え、苗の値段も安く桜の中では手入れが比較的楽で喜ばれたようです。

日本全国にこの桜が植えられているのは、日露戦争の戦勝記念に日本全国に植樹されたためです。
このため亜熱帯の沖縄から亜寒帯の北海道まで全国に生育するというきわめてまれな植物となってしまいました。

日本の国の花は桜ですがこの桜の種類は山桜です。
ソメイヨシノは日本の国の花ではありません。
万葉集や江戸時代以前の歌や詩に詠まれているのは山桜やしだれ桜、八重桜、彼岸桜などです。

春になると話題になる桜前線この予測は、税金を使って花の開花予測をしていますね(運輸省の予算の中です。気象庁が運輸省の監督下にあるためです。)こんなことをしているのは世界中で日本だけです。
本当に税金を使って予測しなければいけない仕事かなと毎年疑問に思います。

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