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第118段:診断基準の変更 |
アトピー性皮膚炎は第100段でも書きましたが、私が学生の頃に教わったアトピー性皮膚炎の定義(ハニフィン先生とライカ先生の研究による)では「1年以上続くかゆみを伴う特有の・・・・」という項目がありました。
私自身は今でもこの定義のほうがよいと思っています。
しかし数年前に日本皮膚科学会は乳児では2ヶ月その他では6ヶ月以上を慢性とすると決められました。
このためアトピー性皮膚炎は1年以上続いていなくても病気が決定し患者さんの数が激増しました。(軽症ばかり)
しかし、患者さんの数が増えたことはマスメディアが報道に飛びつくチャンスでもありました。
そして必要以上に不安をあおられてしまった国民が誤解から不安や恐怖をアトピー性皮膚炎に感じてしまったのです。
(何度も書きますが、アトピー性皮膚炎はその95%以上は治りやすい皮膚疾患で副腎皮質ホルモン(ステロイド)を適切に使用することでコントロール可能なものです。)
診断基準の変更はアトピー性皮膚炎だけではなく、高血圧症や糖尿病、高コレステロール血症などでも行われていて、全般に軽症でも治療が必要と判断される傾向があります。
(これで医者が増えても失業しないですむという、うがち過ぎの批判もありますが・・・)
最近の研究では軽度の変化の時期から積極的に薬を使わない方法などで健康管理をしたほうが、生命予後がよいとされる研究結果が多く発表されています。
今後紹介する予定の「健康日本21」などの情報も見て自覚症状のないときから病気の治療というより健康管理としての生活習慣の変更を心掛けてください。
厚生省の研究では21世紀には一人一人の日本国民の病気の発生の可能性が低くなると予想されています。
医師の仕事も病気の治療から発生予防や健康増進へと広がる予測がされています。
(また別の勉強をしなければならなくなります。医師の自己研鑚も楽じゃないですよ、ほんとに)