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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第137段:花粉症の漢方薬  

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花粉症の患者さんに使用する漢方薬はいくつかありますが、第一に選ばれる薬は小青龍湯(ショウセイリュウトウ)でしょう。
眠気の副作用のない鼻水を止める薬です。
鼻づまりが中心の症状の方にはあまり有効ではなく、水のような鼻汁が流れ出る場合によく効きます。
様々なアレルギーを起こしにくくする薬がありますが、今、医師の間で使用できる薬の中でもっともアレルギーを起こしにくくする作用が強いのは、この小青龍湯です。
(インビトロと呼ばれる研究室の中での試験管内の実験系での研究結果で、薬を飲んだ状態での判定ではありません。このあたりが医学の難しいところなのですが・・・・)

私の集計でも花粉症の患者さんの80%以上で有効性があり、眠気もないため非常に喜ばれています。

次によく用いるのが麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)です。
冷え性の強い患者さんの花粉症の薬です。
名前からわかるように附子(ブシ)つまり鳥兜(トリカブト)が入っている処方です。
鳥兜の毒の成分を加熱処理して毒になる成分を減らしていますから問題ありません。
この薬も眠気は出ませんから車の運転や高所作業などでの注意力の低下もありません。

鼻づまりが主体の患者さんには葛根湯加川きゅう辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)という薬が用いられます。
この薬のポイントは飲むときのお湯の温度を飲める限りできるだけ熱くするというのが効かせるポイントです。
この薬も眠気を副作用として持っていません。
いわゆる抗ヒスタミン剤と呼ばれる薬や抗アレルギー剤には眠気や口が乾くなどの不快な副作用が付き物ですが、漢方薬にはそのような作用がほとんどありません。
その上即効性があるので鼻汁が出始めたり目が痒くなってから使用を開始しても間に合います。
効き目の早く出る人は5分とか10分ぐらいで楽になったといわれます。

漢方薬の使い方は急性の病気に用いる治療法を主体にした治療体系の古方派と慢性の病気の治療を主体にした後世方派、中国本土の中医派というようにいくつかに分けられていますがそれぞれの利点を生かした治療を心掛けています。
鍼や灸も治療の一つで薬と併用するばあもあります。
現代医学だけでなくある程度の経験の積み重ねで有効と思われるものにチャレンジしています。

花粉症は今の状況で完治するものではありませんが、薬を利用することで快適な生活を営むことができます。
薬を怖がらず利用して生活の質を高めては如何でしょうか?

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