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第145段:私も加害者? アトピー性皮膚炎の不適切治療 |
日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎の不適切治療」についての調査が全国の大学病院の内の11施設を対象に行われました。(1998年〜1999年)
その結果アトピー性皮膚炎の悪化のため入院もしくは入院が必要と判断された患者さんは319人、その内主治医が悪化の原因が
「不適切治療と診断したものが44%」
「自然悪化が40%」
「患者が治療に消極的が10%」
副腎皮質ホルモン(ステロイド)の副作用は1%でした。
不適切治療と判断された治療の内、
皮膚科以外の医師の治療を受けていた患者さんは37%
皮膚科の医師の不適切治療を受けていた患者さんも26%おられました。
不適切治療の内容を見ると活性酸素を抑える軟膏や健康食品を使ったり、診療もしないで薬だけを送る悪質なケースや、いまだに厳格な食事療法をしているなどと指摘されていました。
金沢大学の皮膚科竹原教授は「・・・・背景にあるのは情報の混乱による医療不信とそれにつけこむアトピービジネス・・・・・」と説明されています。
医師の責任も少なからずあり(もちろん半数以下ですが)、患者さんの側にも責任があり、もちろん自然悪化もあるということは、責任の所在を求めても根本的な解決には至らないということです。
もちろん自分の責任であることが疑われれば、これを改めることが必要なことはいうまでもありません。
副腎皮質ホルモン(ステロイド)については何度も紹介していますが、この薬の安全性がほとんど理解されていないことに、「私は怒りを覚えます。」
正しく使えば問題のない薬です。
不適切治療の芽は患者さんの側にも少なからず存在していることを認識してください。
危険な薬剤として使用禁止を求めて厚生省に陳情された団体(ごく一部の医師もその中に参加していたようですが)もあるようですが、副腎皮質ホルモンで良くなられた極めて多くの患者さんのことをご存知ないのでしょうか?
診療もしないで薬を送りつけたり、それで良いと考える患者さんのほうも無責任ですね。変わりがないようでも診察を受け適切な治療で健康な肌を取り戻しましょう。