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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第153段:話すと治る、聞かされると辛い  

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診察室に入ってこられた患者さん、「今日はどうされましたか?」と聞いたとたん話は延々と続き出します。
途中で話しをさえぎって「私に何を相談したいのですか?」と聞いても
「まず状況を話してからですから・・・・・・」、
「結局あなたはどうすればよいと思いますか?」と問いかけると、
再び集中豪雨のような言葉が襲い掛かり私は小さくなっています。
(身長181センチ、体重90キログラムですが、こんな時には本当に存在感のない小さなおじさんです)

10分以上同じ話を何度も聞かされ、合いの手を下手にいれると余計に喋られますが、なんとか話をまとめてみると結局、話を聞いてくれる人がいなかっただけ、本人はすっきりとして帰られました。
話を聞いてあげるだけで体の不調の訴えが治る場合が意外とあります。
こんな治療も医療のうちですが、聞かされるほうも楽じゃない後でお金がもらえるから聞いているとはちょっと不謹慎な見解ですが、無料で聞かされていたら怒りますよ。医療行為の中の傾聴ですから聴きますが・・・・・

でも聴いてあげると効果は絶大で非常に喜ばれます。
あそこで治ったと宣伝していただき更に喋りに来る人が増えたりします。
黙って座っているだけで金が入ると誤解しないで下さい。
ストレスのたまり方は尋常ではありません。

医師や学校の教員などのように対人関係の職業従事者は一般の方に比べて自殺者の割合が多い職種です。
医師の中では精神科の医師、次いで麻酔科の医師の自殺率が高いことが知られています。
ちなみに医師の中で自殺率の低いのは小児科医です。

生死を扱う職業ですし、責任は大きい割合に評価は意外と低く、そのストレスは大変なものがあります。
看護職などの医療職も同様に自殺率の高い職種になります。
「燃えつき症候群」などの言葉もあるように人を相手にしている職種はストレスがたまりやすいのです。

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