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第164段:劇薬と毒薬 |
文字だけ見るとどちらも怖そうですね。
毒薬の方が劇薬よりも毒性が強い薬です。
副腎皮質ホルモンの軟膏のチューブに「劇」の字がついていたので塗るのが怖くなったと話された患者さんがありました。
たしかに劇薬を塗っていただいていますが、それよりもはるかに効果の強い飲み薬の副腎皮質ホルモンは劇薬に指定されていません。(プレドニゾロン)
改めて調べてみると意外な事実に気付きました。
(正直なところ劇薬を処方するという意識が私にはほとんどありません。)
子供の解熱剤でよく使われるカロナール細粒(アセトアミノフェンという成分)も劇薬です。
ところがアスピリンは劇薬に指定されていませんが、医療の現場ではアスピリンはライ症候群という症状を引き起こし、小児には危険だということで使用しないように注意が促されていますが、劇薬ではありません。
子供にとって危険といわれる薬が劇薬の指定がなく、推奨される薬の方が劇薬という事実をどう考えられますか?
劇薬も毒薬も厚生大臣が薬事法により指定している薬です。
保管や取り扱いに厳しい制限がありますが、劇薬指定になっていなかった薬が、ある日突然、劇薬に指定されることもありますし、薬の成分が1錠に100ミリグラム含まれているときには劇薬ではないが、200ミリグラムになると劇薬の指定を受けている(テオフィリンという成分)気管支拡張剤とかを見ていると劇薬に対して感覚が麻痺してしまいます。
漢方薬でも、殺人事件に使用されたトリカブト(附子{ブシ})は劇薬ですが、トリカブトを含む麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)は劇薬ではありません。
高血圧や狭心症でよく使われるアダラート(ニフェジピンという成分)、アムロジン・ノルバスク(ベシル酸アムロジピンという成分)なども劇薬ですが、かなり多くの患者さんが飲んでおられる薬でのはずです。
厚生省の薬事行政や法律を非難するつもりはありませんが、こんな状況ですから私自身は劇薬という言葉を患者さんが考えられるほど慎重に処方をしていませんでした。
もう一度自分の処方した薬を点検してみます。