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第167段:検診の有用性 |
人間ドックという考え方は日本では非常に良く受け入れられていますが、諸外国ではどうでしょうか?
外国では多項目検診として知られていますが、ドックなどという言葉は存在しません。
私は多項目検診を否定するつもりはありませんが、効果的な検診かどうか疑問はもっています。
医療に限らず一般に、日本では制度、施策について実施後の評価が欠如しているといわれています。(私も同感です。)
検診などでは見直しで検診内容が簡略化されたことは、学校検診でのきょうぶX線検査や胸囲・色覚検査などでそれ以外はほとんどが追加と拡大の見直しでした。
やらないよりはやったほうが安心とか一人でも異常者が見つかればコストは無視するという考え方が根底にあるようです。
米国や英国、カナダなどでは健康な人に年1回の定期健康診断をすることに対して実施し始めてからその効果についても評価しています。
1922年から定期健康診断を提案した米国医師会は1989年に予防医学に関する研究班報告が作られ、「定期検診に含むべきという確かな証拠(evidence)がある」という検診項目に『A』をつけられたのは血圧のみでした。
「定期検診に含むべきという証拠(evidence)がある」という検診項目に『B』をつけました。
Bに含まれている検診項目は身長・体重と血液中の総コレステロールの2項目でした。「定期検診に含むべきか否かの証拠(evidence)が乏しい」という検診項目には『C』をつけ視力、聴力尿糖、貧血検査、中性脂肪、HDLコレステロール、血糖、心電図などがこれに相当します。胸部のX線検査での肺がん検査は「定期検診に含めないとする証拠(evidence)がある」とされる『D』のランクです。
約10年前のレポートですので最近の研究結果からは否定的な結果が出ているかもしれませんし、日本人とアメリカ人の病気の頻度の違いなどで同一視はできませんが、興味のある話です。
(私の本音の感想では2000年の9月の段階でも確実な証拠のある検診項目は増えていないのが現状です。現在、証拠探しをしている最中ですし、今までよりも精密な検査方法が開発されていますので結果を待っているところです。)
この段での私の本意は検診結果で精密検査の必要を認めなかったからからだの全てが健康と錯覚してはいけないということと、検診内容については意外と疑問な点が多いのだということを知って欲しかっただけです。
もちろん私としては更なる健診制度の充実を望んでいますが、それより先にタバコ対策をといいたいのですが・・・・・