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第168段:バリアフリーは危ない? |
最近の住宅や公共施設のバリアフリー(社会的弱者に対する設備の配慮)はかなり進歩してきました。
車椅子のままで利用できる場所の拡大、段差の解消によるつまずきの解消がなされて、生活しやすい環境になりました。
ところが、いわゆるアウトドア生活をさせてみるとバリアフリーになれた人間は、地面の上にでこぼこがあるという意識が低くなりましたのでよく転びます。
更に最近の特徴として転び方も下手になったようです。
子供たちの怪我を見ると倒れるときに手をつかず、いきなり顔面を地面や壁に激突させ怪我しているようです。
段差の多い幼児施設で育った子供はバランス感覚が良く転倒や怪我が少なく、バリアフリーの幼児施設で育った子供は転びやすく怪我が多いという報告もあります。
危ないから自分が注意をする。
危険すら感じないから何もしない。
この差が出ているわけです。
不自由なところを利用するから利用しやすいように工夫をしたり、様々な技術を得ようとするのが人間です。
安全に簡単に利用できるようになると工夫も技術の習得もなくなります。
技術の習得といえば、最近の子供はマッチで火がつけられないようですね。
「マッチ1本火事のもと」なんて言葉は最近の子供には理解できないのではないでしょうか?
火の話のついでにやけどの話を2つ、子供さんが手のひらを火傷して受診してきました。
祖母が安全だからと購入した電磁調理器で火傷をしました。
加熱したナベを調理器からはずした次の瞬間に孫が自然冷却する前の熱い電磁部を触ったからです。
「安全だと信じていたのに・・・・」という言葉が忘れられません。
幸い傷跡が残るような火傷ではありませんでしたが、過信は禁物です。
もう一つはファンヒーター火が見えないストーブですから子供がファンヒーターの送風口に背中をくっつけていて火傷して来たことがります。
背中の3本の火傷の線とファンヒーターの送風口の間隔が物差しで計ったらきっちり一致しました。
火が見えないから安全ではありません。
安全装置がついていたり、バリアフリーにすれば全てが安全で問題なしと考えていませんか?
そこで問題が起こると大騒ぎになるのが常ですね。
なぜそうなったのかと大騒ぎをする前に、バリアフリーなら大丈夫という考えが誤りだということに気付いてください。