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第170段:労働者の健康問題 |
10月1日から7日までは全国労働衛生週間です。
(労働省としての最後の年度です。)
今年のスローガンは
「ミレニアム つくろう 心とからだの健康 快適職場」です。
(政教分離を掲げる日本の政府が「ミレニアム」などというキリスト教のお祭り用語をスローガンに掲げるのはなんともこっけいですが、内閣や他の省庁も使用していて、日本では宗教用語という認識がないのが、日本の非常識さを表していますね。)
日本の労働者は1年以内に1回は(1年に1回ではなく1年以内に1回です。)定期健康診断という健康診断を受けなくてはなりません。
この検査の平成11年の結果の全国集計を見てみましょう。
なんと有所見者(つまり正常と考えられる基準値に入っていない人)の割合が
全国で42.89%、
島根県では49.81%(ちなみに島根県の平成10年度は54.64%!)でほとんど2人に1人は有所見者という事態になりました。
いくらなんでもちょっと多すぎませんか?
健診項目については第166段にも書いていますがこんなに所見を持つ人が多く、そのほとんどが自覚症状がないわけですから検診後の説明には大変な労力を強いられます。
先ずなぜ所見があると診断されたかを説明し、今後の起こりうる病気の可能性を説明し、今対策が必要かどうか、必要ない場合には次回の検査までの注意、必要があればその内容と多岐にわたります。
昔のように症状があって受診されるのならまだ理解もできるでしょうが、現在の生活習慣病の対策などでは「なんで医者のあんたにこんなことまでも文句を言われなきゃいけないの?
俺の人生だ好きにさせてくれ」と文句ばかりを言われます。
トピックスでも紹介したように、最近は高血圧や糖尿病も判定基準値が厳しくなり受診者数は3倍ぐらいに増え、説明の難しさは3倍ぐらいになり以前よりも9倍も10倍も説明に時間がかかる感じがします。
(正直言ってもう勘弁して欲しい!)
健診であれこれ注意するより、健康教育に力をいれてタバコを止めさせる方がはるかに効果的ですよ。21世紀(ああキリスト教に毒されている)の医師の仕事はタバコの害から国民を守ることです。
平成12年9月の国際肺癌学会「禁煙」東京宣言の一部を紹介します。
「肺癌は世界で癌死の最も高いものである。男女共にその発癌発病率の急増は警鐘を鳴らす状況にある。肺癌の9割は喫煙及び受動喫煙によるものであり、そのため予防可能なものといえる。喫煙はその他の多くの癌、循環器系疾患及び慢性肺疾患の主な原因ともなる。子供の喫煙によるニコチン中毒は世界的な流行病であり、速やかな対応を必要とする。
禁煙は肺癌発生の抑止と、高騰する医療費の抑制を計る最良の方法であり、ひいては世界人類の公衆衛生の向上と豊かな生活を成就することができる。」
(全文はトピックスのページにあります。)