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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第177段:入浴の指示と根拠  

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3〜4歳の子供が風邪にかかったとき小児科医がどのような入浴についての指示を出しているかが集計されました。
条件付で入浴を許可した239人の小児科医の回答です。
(入浴を許可しなかった医師の数は不明)

『長時間入浴しない』が39%
『風呂でよく温まる』が17%、
『ぬるい湯に入る』が6%で
『熱い湯に入る』が2%、
『疲れない程度に入浴する』2%

など様々な回答がありました。

「湯冷めしない』が35%で第2位、『入浴後すぐ床に入る』が32%などが多い回答でした。
『2〜3日に一度の入浴にする』は2%の回答で『入浴後しばらくして寝る』は3%でした。回答が正反対のものが含まれていて診察室で困ってしまうお母さんやお父さんの顔が見えてくるようでした。

その論文の考察の部分から一部引用します。
「身体に対する入浴の影響は、42℃の湯温では脈拍の増加、収縮期血圧の上昇、拡張期血圧の低下、呼吸数の増加を、一方37℃の湯温では脈拍はやや増加、収縮期及び拡張期の血圧の低下呼吸数の増加をもたらす。
入浴が体温に与える影響に関して、40℃および42℃の湯温で11分浴では直腸温の上昇を認め、発汗、顔面紅潮が見られ、40℃の湯温で5分浴および38℃の湯温で11分浴では、40℃および42℃の湯温で11分浴に比べ直腸温の上昇は有意に低く、発汗や顔面紅潮は認められなかった」と引用してあります。

温度計でお風呂のお湯の温度を測ってみたことがありますか?
42度のお湯に入ってみてください。
37℃のお湯に入るとどんな状態ですか?
一度経験してご報告をいただけると喜びます。(私はどちらも経験していますが)

湯船に11分つかっているのは結構しんどいですよ。
そこまでやっても人間の体の変化はごくわずかということです。
安心してご入浴ください。
直腸温が高くなったということは本当に体の芯まで温まったということです。
直腸温が上がる前にふろから上がれば心底温まっていないはずですが・・・・・

今年も風邪の季節が近づきまた患者さんと入浴するかしないかで混乱するのでしょうか?
今年はやる風邪も入浴した方が早く治る風邪です。
皮膚を清潔にしたほうが、風邪は早く治りますよ。
(論文はプライマリケア vol23 No.3 20009月号234頁〜)

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