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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第185段:医療費の使われ方  

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「増えつづける医療費抑制のために・・・・」という文句にはすっかり慣れてしまいましたね。
平成12年の12月に山口県の玖珂中央病院の吉岡先生が日本医師会総合政策研究機構にご依頼された調査の結果を発表されました。
この報告を見ると一人あたりの1ヶ月の医療費の額の順に医療機関から健康保険組合に提出された診療費の請求書(レセプトと呼ばれています。
日本語では診療報酬明細書)を並べて検討を加えられています。

 診療額の多いほうから1%未満のレセプト(患者さんの数)が全体の医療費の24%を使っているという結果が出ました。
(平成10年6月の資料で計算してあります。)

年間約30兆円の24%ですから7兆2千億円くらいです。そして上位から1〜5%のレセプトが31%を占め合計で約55%30兆円の医療費のうちの16兆5千億円を使っているわけです。

さらに見てゆくと上位の20%くらいのレセプトで医療費の75%を使用していることがわかります。
ですから受診した患者さんの内、下位の80%が使用している医療費は25%くらいなのです。
通院患者を減らすことを目的で医療費の自己負担を引き上げても医療費の抜本的な改革にはつながらないということです。

更に医療を受けている人の内、入院患者のレセプト割合は3.5%ですが医療費は45%を使っていますので、入院を短くすることが、医療費を減らすことにつながっているということには異論がないと思います。
(第44段の「大安に退院するのが常識?」も読んで下さい。)

平成10年の6月のデータを示すと
外来患者さんの数は46,814,347でその割合は96.50%で696億円余り、
入院患者さんの数は1,700,349でその割合は44.40%555億円余りの医療費でした。

眼科と内科と整形外科を受診した人は3人と数えますので、実際の患者数とは実態は違います。
(国民の3人に1人が受診しているわけではありません。)

もう少し詳しく見てみると1ヶ月の診療費が100万円を超えるような高額医療費のレセプトは43,700枚で全体の約0.1%このレセプトの医療費が全体の5.5%です。
しかし上位5%のレセプトは5〜6万円の医療費ですし、上位10%は3〜4万円、上位20%は25,000円程度で、全体の通院の患者さんの平均は15,000円足らずですから、私の診療所での診療でも上位の10%以内に入る患者さんがいらっしゃるわけです。
入院の平均は33万円足らずです。
「1日の入院が1万円ちょっと」と考えてください。
ただし急性の病気や検査が目白押しのような場合にはこんな金額では収まりません。
胃の内視鏡検査だけでも1万円を超えますからね。
1週間の入院や2週間程度で退院した場合もその金額を1ヶ月の日数で割りますので金額が少なくなります。
医療費の計算は非常に複雑でこの欄では書ききれません。

また色々とご感想をお寄せください。

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