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第192段:ベッドと椅子はセットで |
介護保険が導入されて1年ほど経過しました。
ベッドの貸し出しを受けている患者さんもいますが患者さんのほとんどはベッドに1日中寝かされています。
時には車椅子に乗っている方もありますが、この車椅子がとても長時間の使用に耐えられる代物ではありません。
移動をさせるために車輪をつけていて更に折りたためるような構造ですから座り心地が良いはずはありません。
嘘だと思ったら連続3時間以上座ってみてください。
私の診療所ではベッドを貸し出すときには高齢者がいくらか動ける場合には椅子も一緒に貸し出します。それも比較的高級な木製の椅子です。
(値段は4万円以上です。)
北欧製の肘掛つきの椅子ですが、実に座りやすく長時間座っても疲れが出ません。
使用されているご家庭で話を聞いても非常に評判がいいようです。
「ベッドは寝る道具」、
「車椅子は移動の道具」、
「椅子は座る道具」です。
以前にも書きましたが日本人の多くは椅子にお金をかけていないように感じています。
椅子の上に座布団を敷くのは椅子の座り心地が悪いからです。いい椅子には座布団は不要です。
お試し下さい。
(ついでながら車の座席のシートカバーも使用するとシートの本来のすばらしい性能を味わうことができません。)
布団の生活なら布団から出たところの畳に座りますが、(移動は這ったり躄〔いざり〕で十分です。)ベッドの時にはそうはいきません。
ちゃんとした椅子が必要なのです。
移動の道具の車椅子は座るための道具ではありませんのでベッドと椅子はワンセットと考えています。(もちろん車椅子も必要ですが)
高齢者にベッドを使用させるとき同時に椅子も用意する必要があることを認識してください。
畳の生活にベッドを持ち込んでも違和感があるのは椅子がないからなのです。
もちろん机やトイレその他の生活用品もベッドにそろえなくてはなりません。
畳の上を這ったりいざったリすることを止めることがベッド生活の原点です。
下肢の筋力が低下するとベッドと椅子の生活が楽になりますのでベッドだけで十分という考えは通用しません。
床に座ると立ち上がるのが困難でますます動くことが億劫になります。
さらに立ち上がるときの転倒の可能性も高まります。
高齢者に生活様式を突然変えさせるのは困難ですが、骨折をさせないように転倒防止を考えることが必要になります。
ご相談を承りますのでよろしく。