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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第197段:消毒液で皮膚炎を作る  

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手荒れのひどい保育士の女性が受診しました。
原因を聞いてもはっきりとしませんでしたが、仕事が休みの日には若干改善するとの話から仕事上の問題はないかと考えていただきました。
結果は保育園で使用しているクレゾールの液が問題のようでした。
実は消毒液をちょっと規定よりも濃く作れば消毒が完全になるとの考えからクレゾールの希釈が不十分だったのです。
話を聞いてもう一度希釈の量を再確認していただきましたら10倍以上濃い液を作っておられました。

そこで今度は消毒液を使用している様々な施設にの方々に、使用中の消毒薬の希釈を規定どうりに行っているかどうかを確かめてみました。
結果はご想像どおり、いずれの施設も2倍から3倍以上の濃い溶液を使用されていました。
あきれた回答には「色がついていればいいでしょ」と答えられた医療職の方もありましたし(ピンク色の5%のヒビテン液での話です。)、いつも大体出来上がった消毒薬の臭いで決めていますという話もありました。
(ついでに農薬や肥料などについても同じような皮膚炎を起こされた方にも伺いましたが、ほとんどの方は濃い目に使用されているようですね。)

「職場や家庭で手が荒れている人はいませんか」とお伺いすると「私以外にも手がガサガサの人がいますよ。」とお答えになります。
消毒液を規定の量にお願いすると「そんなに薄くしたら消毒の効果がなくなる」と叱られたと愚痴をこぼされた方もありました。
「消毒を完全に」という考えがついつい消毒薬の希釈倍数を誤らせ皮膚に障害を起こしているのです。一度障害が起こった皮膚は完全に安定した状態にまでなるのにしばらく時間がかかります。(時には数週間)

洗濯や食器洗いのときの洗剤や漂白剤も多めのほうがきれいになると錯覚していませんか?食中毒防止として塩を多めに使ったりと、日常生活では規定の量を守っていないことが意外と多くないでしょうか?
(私の車での速度超過も規則破りの一つですが)
薬を飲むときでも同じで大目に飲む患者さんや少なめに飲む患者さんなど様々です。
もう一度適正量を確認して生活しましょう。

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