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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第199段:ただ(TADA)ほど怖いものはない(ドラッグ)  

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ただ(TADA)ほど怖いものはないシリーズの3回目はドラッグ(薬物)です。いわゆるヤクやドラッグと呼ばれるものには様々なものがあります。
脳の働きに影響を出す薬物は100種類以上主なものをご紹介しましょう。

 @抑制剤といわれる種類のものでアヘン、モルヒネ、ヘロイン、シンナー、マリファナ、アルコール、睡眠薬、せきどめシロップ精神安定剤などがこのグループです。 

 A興奮剤と呼ばれる種類のものにはコカイン、覚せい剤、せきどめシロップ、カフェイン、タバコが含まれます。

 B幻覚剤と呼ばれるものがLSD、シンナー、マリファナなどです。

上に掲げたもののうち多くは法律で使用が禁止されているか持っていても違反となる場合があります。
しかしタバコやアルコールは20歳以上ならだれでも持つことも買うこともできますし、睡眠剤や精神安定剤は私のような医師から処方して使用しても問題はありません。
この段のポイントの一つはアルコールやタバコもドラッグとしての認識であるということを覚えていただきたい点です。
アメリカではヘロインやコカインなどは麻薬性や習慣性が強いのでハード・ドラッグと呼ばれアルコールやタバコ、カフェインなどはソフト・ドラッグと呼ばれています。
ところがこの分類が問題でハード・ドラッグは明らかに脳や体に影響しますが、習慣性の強さはソフト・ドラッグもハード・ドラッグもほとんど変わりません。
禁断症状が軽いので危険性が低いと考えられているだけです。
(タバコの毒性は今回は省略)

『アルコールシンドローム』という雑誌に掲載された話を紹介しましょう。
「『シンナーを吸うと脳細胞がやられ、幻覚を見たりする』という警告は、むしろ自分たちの好奇心をあおった『シンナーを使って、ものすごい体験をし、アッと驚くものを見ているのに、いつも思い出せない』この悔しさが密売人のところに走ってゆく原動力でした。
ある晩ラッカーシンナーを吸っていると、部屋中に散乱している使い古しのビニール袋が、水晶状に結晶し、ゴジラのギザギザの背中みたいに青白く光っている。
あわてて写真を写真をとったが現像してみると、シワシワのビニール袋だけだった。

シンナーの世界を実況中継しようとしてカセットに録音してみたがスー・ハー、スー・ハーという吸う音とときどき『ウー』とか『アァー』とか、耳をふさぎたくなるような自分自身の獣のような唸り声だけが吹き込まれていたでけで、がっくりきた。」この話を紹介されたのは元ドラッグの世界にいて今は薬物リハビリセンター活躍中の倉田さんという方です。

私自身も病院内でモルヒネ中毒の方のインタビューをしたことがありますが、「絶対いい、友達はもとより親兄弟にうそをついて借金してでもまたやりたい!女房を質に入れてでもアレが手に入るのなら手に入れたい。それで死んでも文句は言わない」とはっきり断言されました。

最初は自らの好奇心で踏み込む場合もありますが、「疲れが取れる栄養剤」とか「ハッピーになれる薬」とかいう不明確な言葉につられてその世界に入り込み気がつけば完全な中毒患者という方も少なくないようです。
薬は責任のある医師の処方でそして甘い言葉に誘惑されないようにしてください。
大人も子供も同じように狙われています。

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