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第200段:セデスの供給停止から |
頭痛の治療薬であった。
セデスという薬の供給が中止されました。
(頭痛以外に、歯痛、月経痛、咽喉痛、耳痛、症候性神経痛、外傷痛、感冒の解熱などにも使われていましたね。)乱用による腎臓の障害が目立つためのようです。
死亡に至った方の使用量は尋常な量ではなく、「これだけ飲んだら、そりゃあ、副作用が出るなあ」という印象です。
今回問題になった成分はフェナセチンと呼ばれる成分でした。ずいぶん古い薬でしてファンの患者さんも少なくありませんでした。
現在(2001年8月)も在庫があれば使用してもよい薬で、すぐに販売を中止するとか回収をするとかの対策にはなりませんでしたが、医師の間では代わりの頭痛薬を何に変更するかが一時期話題になりました。
私はすぐに使用を止めて様子を見ていました。
何人かの患者さんはセデスの代わりに漢方薬で肩代わりができました。
しばしば頭痛を訴えていた患者さんの何人かは最初の何日かは薬がないからと不平が多かったのですが、そのうち諦められたのか頭痛の話がなくなりました。
どうやら頭痛薬の中毒患者さんを私が作っていたようでした。
今回のフェナセチンという成分を含む頭痛の薬には薬が切れると頭痛を誘発する作用があり、薬が切れての軽い頭痛に対して、患者さんが自ら頭痛薬を飲むという悪循環があることが知られていました。
この悪循環に入っていた患者さんが何人かおられたのではないかと考えています。
不必要な薬を出して中毒患者さんを作り医療費の無駄使いをしていたようです。
痛み止めとして使用するとよく効きますし、使用法を再三注意しても結局ファンになられた人たちのある程度は、薬の誘発する頭痛症状に薬で対応されていたのでした。
反省しています。
古くからある薬の安全性は確立しているものと考えていましたが、話を聞いてみると長期間の使用に対する検討がされていないままで薬として認められていて現在の薬の認可基準では認可されない薬もあるということがわかりました。
薬が認可される時点では現在の水準までの安全性は求められていなかったわけです。
新しい基準が確立しても古い薬にまでその基準を当てはめることを要求していないようです。
古い薬は安全で、新しい薬が危険と考えるのは必ずしも正しくないわけです。
薬の効果や副作用などは常に調査がなされています。
それでも薬害が絶えることがありません。
医師や薬剤師とともに患者さんにも協力していただき不幸な転帰を取らないようにしたいと思っています。