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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第214段:切れる人、むかつく人  

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今から20数年前、日本では「切れる人」というのは頭の回転が速くててきぱきと仕事ができる人とか、何でも処理できる人とか言う意味でした。
しかし最近は「切れる人」といえば「プッツンして何をしでかすかわからない人」という意味になったようです。
話す相手の年齢や様子を見ながら理解していないと大失敗です。

私などは昔は「切れない人」の典型でしたが、今はややこしい世の中になったせいか、それとも年をとって気が短くなったせいか「すぐにプッツンする中年おじさん」に変身して「切れる人」に変わってしまったようです。
こんなに意味するところが違う言葉になってもいいのでしょうか?

先日もある中学生が診察室で「先生、むかつくの」と話します。「ふーん」と聞いて
(むかつく?、妊娠のつわりかな、食べすぎか、胃腸の不調かな、いやいや、彼女の顔を見ると、あそうか・・・)、
私の答え「誰かに気分が悪くなること言われたのね、どんなこと?」、
彼女は「あのね先生、昨日学校で友達が私の顔を見るなり超むかつくことをいうのよ、それでプッツン切れちゃって手が震えて、夜も眠れないし・・・・」、という会話、
予想は大当たり、(女性のむかつくという言葉を聞いたら妊娠を考えろとは古くからの教えです。医師は女性の健康問題では妊娠可能な年齢ではまず第一に妊娠しているかどうかを判断しなければいけないと教えられています。
薬を投与したり検査をしてお腹の子どもに影響のあることをさせないためです。
不愉快に感じられる女性が多いのですが、医師として誤診を防ぐために絶対に忘れてはならない鉄則です。それとなく、きちんと、何処かでチェックしています。)

言葉の使用法が年代で異なると診察室では苦労しますね。
切れる人やむかつく人は私でもわかりますが、段々若者の言葉がわからなくなってきました。
平成生まれの人たちも、お年寄りにもわかる優しい言葉を使ってくださいね。

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