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第231段:ウォーキングの楽しさ |
散歩をしながら考え事をすると、意外と良い考えがまとまります。
思索に散歩が有効なことは、昔から知られていて実行されていたようです。
有名な哲学者のカントも散歩をしながら考えをまとめていたといわれます。
京都にある「疎水べり」も同じように哲学者・西田幾太郎などが思索しながら歩いたという由来で、通称「哲学の道」とよばれています。
私自身も京都を訪れたとき、時間があればこの道に足を進め琵琶湖の疎水の流れる音を聞きながら「人は人吾はわれ也、とにかくに吾行く道を吾は行くなり」などと思い出しながら歩いたことが何度かあります。
今日のこの話も実際に散歩をしながら思い出したことをまとめてみました。
散歩は最近ではウォーキングなどとも呼ばれて健康のための運動療法として効用が認められていますが、肉体的な健康だけでなく様々な効果が知られています。
ところが、健康面の効用が余りに強く印象付けられたために、とにかく歩くことが良いことと受け取られ、歩き過ぎでの障害も目立つようになりました。
硬いアスファルトやコンクリートの上を長時間歩いたり、足に刺激があるほうが良いと、クッション性の少ない底の薄い靴で歩いたりすることで骨や関節に負担がかかりすぎてしまうのです。
速く歩くこと、時間や距離を多くすることや負担の多い坂道を歩くことが、健康につながると勘違いされている場合が多いようです。
雨が降っても嵐の日でも毎日ウォーキングをしないと落ち着かないなどといわれる方はすでに立派な「運動中毒と呼ばれる病気」だという自覚をもたれたほうが良いでしょう。
健康ウォークとして益田市には様々な散歩コースが各地区ごとにあり冊子となり紹介
されています。
自治会単位でまとまった「健康を守る会」などと呼ばれる組織がまとめ上げたものです。
車が少なく会話を楽しみながら歩ける道、歴史に思いをはせながら歩く道、景色を楽しみながら歩けるコースなどもあり、それぞれのコースを歩き比べてみるのもの面白いでしょう。
ウォーキングの楽しさは歩くだけではありません。
途中では一休みして真上の空を見て下さい。
いつも見ている空とは別の空が見えると思います。
歩いていると足元を見るのに一所懸命で意外と周囲や空などを見ていないものです。
散歩を歩くだけで済ますのはもったいないので、場所にも寄りますが時には草の上などで大の字に寝転んで地面や草木の匂いや温度、硬さなども感じてください。
目をつぶるとそれまで聞こえてこなかった音も聞こえてきますね。
梅雨空の晴れ間に気軽に歩いてみましょう。
散歩:行く先・道順などを特に詳しく決めることなく気分転換・健康維持や軽い気持
ちの探索などに出て歩き回ること(新明解国語辞典第4版)
2002年7月の山陰中央新報「いわみ談話室」から