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第235段:「お盆疲れとともに夏行く」 |
今年もお盆の帰省シーズンが終わりました。
帰省の時期には都会の人口が減り、田舎は人口が増加します。
病気の発生には盆も正月も関係ありませんので、人口が増えれば患者さんも自然に増えてしまいます。
私の診療所も当然のことながら初めての患者さんが比較的集中して受診されます。
喘息発作など体調が急変して受診されると、今までの受診状況や発作の対応法などを聞
きながら、今までの治療や診療方針を極端に変えないように対処しますので、診察する側も通常の診療よりもはるかに疲れます。
加えて、解熱剤の使用法やかぜをひいたときの入浴の是非などは医師の間でも見解が統一されていませんから、かかりつけの医師の指導内容と異なることもあり、考え方の説明で結果的にはかなりの時間を必要としてしまいます。
(ちなみに私は、基本的に子どもの38度台の熱には解熱剤は使用しない派、かぜなどで熱があっても入浴は積極的に勧める派で、どちらも多数派だと信じていますが・・・)
「お盆でお休みとは思いますが・・・」と電話で話し始められると、私は「とりあえずの診療だけでも良ければ・・・」と答えて診察室で患者さんをお待ちしています。
「電話も留守電にして切ってしまえば?」などとアドバイスを時折戴きますが、在宅で寝たきりの患者さんの家族からの連絡もありますので、一応休みにはしていても可能な限り応対をしていました。
今年も結果的に十人余りが夜昼を問わずお盆休みの間に受診されました。
それに加えて死体検案の出動も1件ありました。
帰省シーズンが大変なのは医療機関だけではなく帰省を受け入れる地域の方々も同じでしょう。
お盆明けになると必ず
「疲れました。8月初めから孫たちが来ていて10日過ぎからは親を含めて帰省して来たので、多いときには全部で20人以上でしたよ」とか、
「みんなと会えて嬉しいけれども、夜遅くまで話込んで疲れる。外食にに出かけると、年金生活者でも親だからローン抱えた話を聞いてるとつい支払いもこっち持ち」、
「あちこち出歩き、食費やあれやこれやで財布もスッカラカン。その上、後始末はみんな私たちだもの」などと話しながら受診される方もおられます。
こんな話を
聞き始めると医師の私は「ああ、今年の夏のピークも終わったな」と感じてしまいます。
涼しかった今年の夏は帰省時の接待疲れも幾分軽かったのではないでしょうか?
後4ヶ月ほどで年末年始の帰省のシーズンです。
夏の家から冬の家に模様替えしてまた帰省客を迎えましょう。
新型ウイルス肺炎も流行りそうな今度の冬にはせめてインフルエンザワクチンだけは済ませておきましょう。病気のお土産のやり取りは誰だって嫌ですからね。
2003年8月の山陰中央新報の「いわみ談話室」から