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第237段:広がる煙のない世界 |
「先生、空気のきれいなところでタバコを吸えるようにしていただき、ありがとうございました。」
今年の1月のある日、JA西いわみの屋外にある灰皿の近くで寒さに震えながら喫煙している職員から言葉を掛けられました。
昨年、12月29日の同JAの部長会議に特別に嘱託産業医として出席をさせてもらい、4月以来の検討事項であった建物内禁煙のお願いを私がしたからでした。
会議の席上「タバコを吸わない人間が禁煙を宣言するより、吸う人間が吸わないと決め実行しましょう。」と喫煙者の常務から発言があり「元日から本所、支所関連の施設内はすべて禁煙」という一声が発せられました。
わずか10分ほどの間の出来事でした。
部長会を退席した私は帰りの車の中でほっとした気持ちよりも、喫煙者からの反発に耐えてゆかねばならない職員の苦労を心配していました。
昨年5月の健康増進法の施行前から、同JAの担当者たちと快適な職場を形成するため、喫煙の問題を検討しました。
職員だけでなく、JAを訪れられる方々にも協力してもらわなければなりません。
必要性は理解できても実施の時期や方法に迷いがあったのも事実です。
しかし、12月に入り農協中央会からも各JAに対して健康増進法、特に禁煙についての推進依頼文書が届いたのを機会に推進の機運が盛り上がりました。
部長会議では
「JA西いわみの仕事でする台湾でも喫煙できない状況が広がっている。」、
「益田市内の公民館でも会議に灰皿を出さない方向。われわれの施設での禁煙を推進しても早すぎることはない」
との意見が出て実施となりました。
館内禁煙が始まると「寒い屋外で震えながらタバコを吸う姿はかわいそう」との声が耳に入ります。
しかし、閉め切った暖かい室内でタバコを吸わない人にまで有毒ガスを吸わせていた、これまでのほうがはるかに悲惨だったということを認識しなければなりません。
たばこ1本を吸うために数分間仕事を中断します。
就業中に10本を吸えば1時間近く仕事をしていないことになりますが、それでも建物の中での喫煙を認めない、というトップの決断を守り通さなければなりません。
「受動喫煙」といわれる他人のタバコの煙を吸わされることがないようにしようという趣旨の健康増進法が施行されて急速に喫煙場所が減っています。
喫煙習慣を持つ人たちからは「迫害だ」とか「暴力だ」という声が上がってきますが、ニコチンという毒物への依存から抜け出した元喫煙者は、私を含めて「やめてみると喫煙そのものが迷惑だ」と断言しています。
元日に同JAから戴いたすてきお年玉、次は4月の新学期祝いに学校内の禁煙化ですね。
次々と煙のない世界が広がります。
2003年2月の山陰中央新報「いわみ談話室」から
文中のJAの担当者が台湾に行き来している理由は;このJAから台湾に米を輸出してい
るのでその交渉過程での行き来がありました。
「ヘルシー元氣米」というブランドで国内でも販売していますが、農薬や化学肥料を減らして食味をよくしたお米です。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn03122203.html