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第238段:激務の「コンビニ医療」 |
「1年365日は52.14週、今年から1年で53週間働くことになっちゃった」と県外の友人に話したら「何だ、その話は」と聞いてきました。
益田市の小児在宅当番医制と呼ばれる小児を対象とした休日の診療体制が始まって5ヶ月ほどが経過しました。
益田市内の小児科診療をしている医療機関のうち制度に参加表明をした8医療機関が順番に日曜日や休日の午後5時から午後9時まで診療を行っています。
大人が対象の在宅当番医制も益田市にはあり、16の医療機関が同様に診療を行っています。
小児科は年間8回から9回、内科は年間4回から5回当番が当たります。お隣の鹿足郡では午前9時から午後4時まで7つの医療機関で順番に診療を担当、年間約10回の休日診療を担当していて益田市よりはさらに大変です。
休日の診療を担当する医師には多分その代休はないはずです。
それぞれの医療機関で働いているスタッフにも同様の負担がかかっているのではないでしょうか。
つまり休日の診療をしている医師やスタッフの中には、前の週の6日間に加えて日曜日、さらに次の週の6日間と連続13日間の勤務となっている方が少なくないと考えるわけです。
地域の医療を休日も支えるために過酷な労働を強いられているといっても過言ではないでしょう。
実は益田市内のこの制度に参加している医師の中には数名が70歳以上です。
診療の前後には準備や後片付けの時間が必要で、結局4時間の診療でも5時間以上は拘束されてしまいます。
脱水症の小児などでは点滴をすればさらに時間が延長してしまいます。
週休2日、週40時間労働という標準的な労働者と比べると大変な激務といわざるをえません。
「結局、5時間の拘束が9・9回で40〜45時間労働時間が増えるから、1週間分余計に働くというわけだよ」と説明しました。
昨年、行政サイドから休日の「小児科診療の体制の見直しを」と提案があったとき、会議では様々な意見が出て、行政サイドにさまざまな問題点や課題を提出しましたが、はっきりとした回答や計画は示されず、結果的には1月から3ヶ月間試行、4月以降は改めて実施ということが決まり、今まで以上に休日の診療体制を広報することだけが実施されました。
予算化された地域の事業で、自ら参加表明をしているわけですから弱音を吐くつもりはありませんが、最近は夜間や休日の軽症の応急的な救急診療は24時間営業のコンビニエンスストアを利用する感覚の患者さんが多いことから「コンビニ診療」とまで呼ばれるようになり、行き届いた宣伝で受診者数は増加の傾向にあるようです。
予想以上の人気に成功と判断される向きもあるようですが、担当している医師の感想はいかがでしょうか?
また、益田市内の医療機関では処方せんを発行して薬局で薬を受け取る医薬分業のシステムが多く、医療機関の診療にあわせて薬局にも同様な無理な休日の調剤をお願いしています。
この制度が開始される前の小児の休日の救急診療はそのほとんどが益田赤十字病院でしたから、大変な混雑でその解消に一役買ったことは事実のようですが。