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第239段:楽しく生活健康で長寿 |
昨年12月に東京都立大学、大学院・都市科学研究科の星旦二先生が益田市で講演され、地域社会の住民の長寿や健康についてお話されました。
日本の平均余命は世界一ということはご承知のことでしょう。
その世界一の国の中で都道府県別に計算すると島根の女性は第3位とトップクラス、男性は22位ですのでちょうど中間ほどです。
島根の男性と女性の順位に大きな差がついているのは、島根の医師が特別に女性を丁寧に治療しているのではありません。
原因が医療の供給体制ではないということです。
大阪(男女とも45位)東京(男性20位、女性33位)など医療設備の充実している大都会が上位に顔を出していないことがその証拠です。
世界的にみても先端医療の充実したアメリカが一番ではなく、日本と同様に医療費の少ないことで有名なイギリスと、医療費が一番多いアメリカが似たような平均余命であったりして、医療設備やお金、専門職の多寡が健康や長寿とは密接な関係がないことがわかっています。
島根県内の市町村単位でここは長寿だあそこは短命だと比べてみても、100点満点の試験で98点と97点でどっちが優秀かを論議しているような話ですから余り意味がありません。
星先生の健康や長寿のキーワードはきれいな水ときれいな空気でした。
そして、直接的な健康問題ではやはりタバコの害が非常に大きく、今後の日本の大きな課題でありタバコの対策を有効に実施しなければやがて世界一の長寿の座から滑り落ちると指摘されました。
その次の注目点は心です。
楽しく、生き生きした生活、スピリチュアル・ヘルスの話です。数年前からこのスピリチュアル・ヘルスという概念が医療関係者の中に導入されてきました。
積極的に生きることに関わりをもち、充実した生活をしようということです。
星先生たちの研究では仕事(ちゃんと収入がある)や生きがいのある人たちは身体活動も活発なようです。
単に生きているだけではなく、現状に満足するだけでもなく、未来に向かってゆくような気持ちや身体活動がより健康で長寿をもたらすようです。
1月のある日、寝たきりの女性を訪問診療しました「今年のお誕生日で82歳ですね。
私も今年で50歳になりますよ」と声を掛けました。
「先生もあと5年で定年の年だねえ・・・私もお迎えが・・・」、
「両方とも現在その状況ではないですね。」と答えてお宅を後にしました。
暦の年齢や肉体年齢よりもスピリチュアル・ヘルスです。定年の年齢などは単なる通過点、楽しく生き生きした生活をしていれば長寿も健康もついてきます。
それにしても最近は元気のない人が多いですね。