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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第240段:禁煙した後のすばらしい人生  

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10月14日益田市役所では市地域保健推進室が第1回目の禁煙教室を開催しました。
私もこの会に参加して禁煙運動に立ち上がろうと決意したところです。今年は厚生省から「健康日本21」という今後10年間の日本の健康に関する数値目標が発表され、各種の生活習慣病の現状から日本人が今後どのような生活習慣の改善をすることで、健康を維持・増進させることが可能かという具体的な目標が出されました。

この目標の決定過程で大変な論議を呼んだのが「タバコの問題」でした。

なんと純粋に健康や保健の問題なのにタバコが税収に関係があるとして税金に関係する省庁や国会議員から横槍が入りました。
もちろんタバコの製造会社、生産者団体、販売団体などからも猛烈な抗議があったようです。
厚生省の諮問委員会では今後10年間で「成人の喫煙率と一人当たりのたばこ消費量を2010年までに半減する」目標を立てていたのですが、結果的にはご承知のように「半減」という数値目標は消えてしまいました。
ところがこの騒動があったことが、かえってタバコ問題に注目を集めてしまいました。

益田市での禁煙教室の講師をつとめられた滋賀医科大学福祉保健医学講座の喜多義邦先生は、多くの資料や研究結果を示しながら「タバコの持つ毒性や習慣性」、「なぜ止められないのか」、などの理由を丁寧に説明されました。そして多くの生活習慣病の増悪因子がタバコであり、タバコを止めることでどのくらい死亡の危険度が低下するのかについても言及されました。
講演の後の先生との会話の中で今後の健康問題では喫煙習慣からの離脱は避けて通れないものになっているという点で意見が一致しました。

9月14日に発表された国際肺癌学会の「『禁煙』東京宣言」では「肺癌の9割は喫煙及び受動喫煙によるもの」とはっきり宣言されています。
禁煙することで脳卒中の発生を減らし、心臓病などの発生を減らすことは、すでに何度も明らかになっています。

タバコの売上による税の増収より、禁煙で健康をえて医療費を減らしたり、寝タバコが原因でおこる火事などでの損失を計算すると、禁煙を徹底したほうが国家の財政にも有益であるという明らかな統計結果が出ています。
諸外国からも日本のタバコ問題に関する取り組みは遅れていて非常に問題があると再三指摘されています。
男性の喫煙率は先進国中で不名誉な第1位、若年者と若年女性の喫煙率の急増は大変な問題です。

喫煙者の6割以上がタバコを止めたいとか、減らしたいと考えているという報告もあります。現在は様々な禁煙法が開発されていますから是非実行をしてみてください。
4~5回は失敗するのが普通です。
2~3度失敗したからやっぱりだめとあきらめるのは早すぎます。
私自身は本気で5回禁煙に挑戦しその5回目がやっと12年ほど続いているわけですから、まだまだ1人前とはいえません。
今でもタバコの香りに心が揺れることがあるくらい魅力的な「習慣性薬物」なのです。

禁煙運動に熱心な医師の一人の大和高田市立病院の高橋裕子先生は「禁煙すること
が目的なのではなく、禁煙した後の素晴らしい人生を楽しむことが目的なのです」と
話されています。
タバコを吸いながら読んでいるあなたはどう考えますか?

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