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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第255段:喘息の季節  

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冬のインフルエンザ、夏の水虫、とびひ、日焼けなど季節によって受診される患者さんの病気には偏りがあります。
呼吸困難の代表として有名な喘息は5月と6月と10月に発作が比較的集中しています。数年前まではこの時期になると夜間や早朝に喘息発作を起こされた患者さんに点滴などの治療をしていました。

ところが3年程前の冬に喘息治療薬のスーパースターが出現しました。
昔の考えでは気管支喘息という病気は気管支が狭くなり呼吸困難を起こすので気管支拡張薬を使えばよいという考え方でしたが、10年程前からちょっと特殊な気管支炎という考え方になり治療の中心が吸入の副腎皮質ホルモン(ステロイド)になってしまいました。
この吸入の副腎皮質ホルモンの新しい薬が日本でも使えるようになり治療法が激変したわけです。

喘息は精神的なものが絡んでいるので治り難いとか体の鍛錬が不足しているなどとさまざまな陰口がありましたが、この薬が使えるようになってから発作の起こる頻度が激減して今までの治療は何だったのかと疑いたくなる状況になりました。

東京ビルヂング「カルテの落書き」から

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