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第263段:ンフルエンザと発熱、発熱は味方? |
毎年、冬はインフルエンザの話題でひとしきり賑やかになりますが今年はどうでしょうか?
しばしば「今年のカゼの特徴は?」と問われますが、実は毎年同じ症状です。
インフルエンザという病名の病気だからです。
症状が劇的に変われば別の病気として扱いますから異なる病名になるはずです。
漢方薬でインフルエンザやカゼの治療をするときには2000年以上前から使われている薬が現在でも有効に利用されています。
このことが「去年のカゼ」と「今年のカゼ」を治療や予防法で変える必要がないことの表れでもあります。
漢方薬の使い方を述べた傷寒論と呼ばれる漢の時代の書物には、現在のインフルエンザや様々な状態のカゼのたとえば、お腹の調子を崩した場合、治りかけのときの場合、咳だけ続く場合など数多くの処方が書かれています。
現代医学のカゼやインフルエンザの治療のように何日も同じ薬で治療をしていなかったことが解ります。
もちろん薬が病人の体力や体調の違いにより効き目も違うという不思議な薬のためですが、現在の薬には見られないようなすばらしい効果をもつものもあります。
漢方薬の風邪薬の特徴は薬の成分に体を温める作用がある場合が意外と多いということです。
カゼやインフルエンザで熱が出るとすぐ熱さましと考えがちですが、漢方では発熱をさせたり、高熱が出ている人には更に少し発熱させてから発汗させて自然な形で解熱をさせています。
普通の熱さましでは薬の効きが切れるとすぐに再度発熱しますが、漢方薬では汗をかいてから次回の発熱までには若干時間がかかります。
なぜこのようなことになっているのでしょうか?
人間の体はカゼやインフルエンザの原因菌やウイルスが体に入ってくると免疫機能と呼ばれる自分の体を守る抵抗力が発揮されてきます。
この免疫機能は体温が高い時と低いときでは体温が高いほうが活発です。
一方ウイルスや細菌は人間の体温が高ければ高いほど活動が不活発になります。
ですから、病気になったから発熱するのではなく、病気を治すために発熱しているわけです。
しかし発熱はそれ自体が長時間続けば体力を消耗しますのである程度の体温からは解熱をしないと問題です。子供の場合は39度〜39.5度くらいから解熱剤を使用しますが、大人はもう少し低い方が楽なようですね。
大人では38.5度くらいまでは我慢して欲しいのですが・・・・
もちろん脱水症にならないように十分な水分の補給が必要なことはいうまでもありませ
ん。
「熱が出ると頭がやられる」
「熱で頭がパーになる」
などと心配される方もありますが、私は脱水症や脳炎がなければ体温が41.5度までは脳の障害が起こらないという文献を信じて診療しています。
私も何度も41.5度を超えた患者さんを診察させていただいた経験がありますが、脳の障害は経験したことはありません。
小児の場合は「38度台の熱は下げる必要はない」、「解熱剤で38度台まで解熱したら薬
が効いた証拠」と説明しています。
解熱剤をしつこく要求される患者さんには
「カゼやインフルエンザで体温を低くすれば病気が治るのなら、なぜ裸で水風呂に入らないのですか?誰もが体を温めて布団にもぐりこんでいませんか? 体を暖かくした方が早く病気が治るのを経験でご存知なのに『熱さまし!』、『熱さましっ!』となぜ騒がれるのでしょうか?」
と逆に質問しています。
最近の研究ではカゼやインフルエンザの初期に積極的に解熱剤を使用した集団と、解熱剤を使用しなかった集団では解熱剤を使用したほうが完全に治るまでの時間が長かったという研究があります。
体を温めるという理由からカゼやインフルエンザの時には入浴が効果的です。
入浴で体力を消耗するといわれる方がありますが、温泉の効能には疲労回復としばしば書かれていますが、如何でしょうか?
カゼやインフルエンザは皮膚を清潔に保つことも治療に必要なことです。
垢まみれの体はばい菌やウイルスが大好きな場所ですからお風呂に入って清潔な体で病気を治してください。
最近、風呂上りに湯冷めをするような寒い家に住んでいる人がいますか?
暖房機がない時代ではありません。
時代にあった養生をしてください。
インフルエンザの初期に使用することで症状を軽く済ませる薬もありますが、やはり予防に勝るものはありません。
あなたはもうワクチン接種を済ませていますね。
東京ビルヂング「カルテの落書き」から