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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第277段:食卓の話題  

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日本の食卓の食材の多くが輸入品であることは良く知られています。
特に穀物は日本の穀物自給率が24%でOECD(経済協力開発機構)加盟国30カ国の中ではアイスランドの0%についでの2位ですが、同じ加盟国でお隣の韓国も27%と日本に近い状態です。
(国民1人あたりの穀物輸入量では日本は216kg、韓国は289kg)
自給率や農業問題はこのコラムの趣旨ではありませんから他の方にお任せしておきます。

食べている穀物の内容を国別に見てみるとコメの国民一人当たりの消費量が1番多いのはミャンマーで年間約200kg、2位はベトナム、3位はラオスで共に約170kgと続き、日本は29位で57.7kg(自給率は92.7%)、世界の平均は192カ国で57.3kgですから世界の平均的なコメの消費量と日本の消費量がほぼ同じいうところです。
意外と日本人がコメを食べていないと感じるか、世界的にはコメは結構食べられていると感じるか、如何でしょうか?

同様に小麦の消費量を見ると1位はキルギス約220kg、2位はトルクメニスタンで約210kg、世界平均が67.0kg、日本は43.4kgで113位でした。世界の平均ではコメの57.3kgと小麦の67.0kgですから1ヶ月で1kgにもならない差です。
私にとっては意外な結果でしたがあなたはどのように感じますか?

小麦といえばパンと思いますが、様々なパスタ、和食では「うどん」も「そうめん」も小麦粉ですし、ラーメンも小麦粉ですからから結構食べているはずですが、世界的に見ると日本人は小麦を食べていないのですね。飢餓に苦しんでいる国の数字も含めての消費量ですから穀物全体を食べていないという結果なのでしょう。

大量諸費される穀物のもう一つ、トウモロコシの消費は1位がレソトで約170kg、世界平均は17.7kg、日本は80位の10.8kgでした。砂糖類の消費は1位がアメリカ約70kg、2位がキューバで約60kg、日本は95位で29.4kg、世界平均は25.5kgでした。なんと、1日あたりアメリカ人は196gの砂糖類を食べている勘定です。
日本人は半分以下の80g程度ですが人種的にモンゴロイド(日本人が含まれる)やアーリア系人種といわれるアジア系の人たちは糖尿病になりやすいので砂糖類の摂取は控えないと健康を維持できません。コーヒーや紅茶を飲むときに使用する平均的なスティックシュガーが1本6グラムですから、それを元にお菓子や食事ではいる砂糖類の量を想像してください。

医食同源という言葉もあるように、どんなものを食べているかが健康を左右していることはすでにご承知のことだと思います。
生活習慣病の食事療法では穀物を多く食べるように指導されていますが、日本人の穀物の食べ方が多いほうではないということがわかると思います。

たんぱく質の摂取では魚介類を食べるように指導されることが多いのですが、魚介類は1位がモルディブで約190kg、2位がアイスランドで約90kg、4位が日本で66.3kg、世界平均は16.3kgです。あれれ?コメは日本では一人当たり57.7kgで魚介類は66.3kg、ご飯よりも魚をたくさん食べている?
これに牛肉8.6kg(80位)、豚肉18.9kg(40位)、鶏肉16.9kg(66位)が加わったら主食がご飯じゃなくなってしまうと考えませんか?

最近の日本の食卓では主食といわれたコメが嫌われ、副食と呼ばれる肉や魚のおかずの方がたくさん食べられているのです。
もちろんコメはご飯にする前の水を加えていない重さですし、魚介類は調理する前の重さで骨なども含んでいますから多少の変動はありますが、昭和30年代に比べると現在では「主食がおかず」、「副食が穀物」という状況ではないでしょうか?

日本の食卓を象徴するのは実は卵です。
なんと消費量は日本が世界1位で19.1kgですから1年間に約300個以上食べています。
(国内での自給率は96%)
世界平均の8.4kgを軽く2倍以上超えています。

日本を含めた先進国では、油脂類と砂糖の過剰摂取が様々な病気を引き起こすとされています。食事に美味しさを求めると油と砂糖さらに塩分を必要としてきます。
豊かさを食事で実現すると糖尿病などの生活習慣病の危険度が増すというわけです。

様々な統計をみていると日本人の食生活や生活習慣は改善の余地が十分にあり、まだまだ元気で長生きの健康寿命が伸ばせそうです。
禁煙を始めとして運動やアルコールなどの話題を食卓に出していただくと喜びます。

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