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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第27段:日本の医療費と社会保障費  

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厚生統計協会発行の1997年「国民衛生の動向」の252頁には日本と諸外国の国民医療費の推移が掲載されています。
(諸外国の国民医療費は日本の範囲に近づけたものになっています。)
1975年の医療費を1とすると1994年の日本の医療費は3.98倍になっています。

しかしアメリカはこの間に6.97倍、フランスは6.84倍(1975年と1993年の比較)、イギリスは6.88倍(1975年と1993年の比較)に増加しています。
マスメディアの報道からは信じられない数字ではないでしょうか?

対GDPでは日本は4.3%が5.4%へアメリカは6.3%が10.4%へ、フランスは6.0%が8.5%へ、イギリスは集計がありませんでした。
この約20年間にもっとも老人が増えたのはもちろん日本ですから、諸外国よりももっと医療費が増加しても当然なのではないでしょうか?
(医療費の伸びほど医師の収入は増えていませんが、この問題には今はふれません)
同じ本の481頁を見てみましょう。
人口1万人あたりの医師の数です。
1994年の日本では18.4人でした。
93年のスペインは40.8人93年のアメリカは25.0人、94年のフランスは27.8人、93年のイギリスは15.4人、93年のエジプトが19.9人となっています。
医師の数では上位20位以内にも入りません。

別の本からの引用ですが入院ベッド100床あたりの病院の職員数はヨーロッパでは180人、アメリカでは350人、日本では85人です。
医師の数は少なく、病院職員の数も桁違いで、医療費は安く(人間が少ないので医療費が少ないのです。)、それでも世界1の長寿の国を維持させているのです。

関係者の努力には大変なものがあることがお解り戴けると思います。
アメリカのクリントン大統領は安くて良質な医療を提供している日本の医療制度をアメリカに取り入れようとして計画を立てましたが、今までのアメリカの医療制度を維持しようとする様々な圧力に屈してこの計画は頓挫してしまいました。

厚生統計協会発行の1997年「国民衛生の動向」に目を戻してみましょう。
495頁には社会保障給付費についての記載があります。
国民所得に対する社会保障費は日本では11.9%、アメリカでは10.7%、イギリスでは10.5%、フランスでは28.4%、ドイツでは22.5%、スウェーデンでは20.5%という割合です。社会保障費をこのように少なくして北欧並の社会保障を求められても不可能な相談だとは思いませんか?

ついでながら租税負担と社会保障費の合計額が国民所得に占める割合も書いておきましょう。

日本が36.8%、アメリカが36.3%、イギリスが48.2%、フランスが62.6%、ドイツが53.4%、スウェーデンが69.8%です。国民の所得100万円の内税金や保険料が日本では36万8000円、ですがスウェーデンでは69万8000円も取られるという訳です。

福祉を充実させている国は負担も大変だということを知っていて下さい。
「税金が高い、保険料が高い!」と言いながら「医療費を安く!」「福祉を充実して!」と叫ぶことが見当違いだと感じるのは、私だけでしょうか?

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