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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第53段:お医者さんに怒られた  

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医師の中にはすぐに怒る人、いつも笑顔の絶えない人など色々な方がおられます。
私はどうでしょうか?

最近「松本先生は昔は笑顔で話を聞いてくれていたけれど、この頃はよく怒っていて怖い」といわれることがあります。
そういわれてみると「ちょっと怒る回数が増えたかな?」、何度も同じことを聞かれたり(数年間、通院している患者さんで、月に4回以上来院している方が「毎回同じこと」を聞かれると声を荒げたくなるのです。

本当に毎回話の終わり頃には「先生よく説明してもらって分かりました。有り難うございました。いつもご迷惑ばかりおかけして申し訳ありません。」と話して帰った患者さんが、1週間後には「腹痛の原因はなんですか?何か悪い病気があるのじゃないですか?」と聞いてくるのです。

「先月、消化器内科の先生に精密検査をしてもらって過敏性腸症候群といわれてきたでしょ。?どんな病気か覚えていますか?」
「忘れました。よく説明をしてもらって分かったつもりで帰ったのですが、痛くなったら又悪い病気じゃないかと不安でして・・・・」
「だから、腹痛はあっても心配はいらないとお話ししたでしょう。以前よりも少しずつ腹痛の回数も減っているでしょ?」
「でも時にはおなかが痛みます。・・・・・」
「一度には治りませんよ・・・・」。

こんな会話を毎週してみて下さい。
患者さんは不安も分かりますが、同じ日に同じ説明を2度も3度もさせられます。
私も初めは初めて聞く振りをして聞いていますが、4回目あたりになるとやはり怒りが出てきます、「何度説明したらいいのですか?」という言葉が出るともうおしまい、怒りまくってしまいます。

「仏の顔も三度」ですよ5回も6回も笑顔を続けられません。
理解していないのに理解したように口を合わされるとつい理解されたと錯覚します。
そこが私の未熟さの現れです。

「仏の松本先生になりたいですね」

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