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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第54段:睡眠薬は・・・・・といわれる方に  

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睡眠薬や睡眠導入剤、精神安定剤などといわれる作用を持つ薬のグループは一般の方には誤解の多い薬です。
これらの薬は
「癖になる」(多分、習慣性があるとか、依存性があるとかいう意味でしょう)
「飲み出すと次第に量が増えてきて身体に毒だ!」(薬物耐性を指してのことだと思います。)
などといわれますが、本当にそうでしょうか?

ある研究によれば精神分裂病に使用される薬の50分の1〜100分の1の強さの薬だともいわれています。精神分裂病の患者さんは薬を20年も30年も続けて飲まれますが、ほとんど副作用などはありません。
そのような薬よりもはるかに弱い薬(ベンゾジアゼピン系の薬剤と専門家は呼びます)を飲んで副作用を心配するのはいかがなものでしょうか?

眠るためにアルコールを飲まれる人もありますが、普通の睡眠導入剤や精神安定剤(ベンゾジアゼピン系など)なら薬のほうがアルコールよりも身体にたいする悪影響が少ないことが知られています。薬の副作用を怖がってアルコールで睡眠を誘っていませんか?
身体にはアルコールのほうが毒になります。

眠るための薬の投与終了時期は患者さんが自然に飲むのを忘れるようになったときです。
薬のことを気にしたり、薬を飲まないと眠れないと思っているときは、その考えが出ることが睡眠のための薬が必要な症状だと考えて下さい。
睡眠のための薬のことが頭の中をよぎるときはまだ薬が必要なときです。
医師の睡眠障害の治療の終了時期は薬を使用しないで安定した眠りが得られる時期です。患者さんのあなたが医師の仕事をしないで下さい。
(あなたが勝手に薬物療法の終了時期を決めるのは越権行為です。)

第4段でも薬は生活補助具という話を書きました。
ある患者さんに「眼鏡が必要な人は目が悪くて眼鏡を掛けることで目の健康な人と同じ生活ができるのです。あなたは睡眠薬という道具を身体の内側に付ける、つまり薬を飲むことで睡眠不足から解消され健康な人と同じ生活が出来るようになると考えて下さい。」と話しました。「あっ」と声を出され「有り難うございました。そう考えればよいのですね」と話され安心されたようでした。

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