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第58段:漢方薬の副作用 |
漢方薬の副作用で一躍有名になったのは慢性肝炎に多く用いられた小柴胡湯(ショウサイコトウ)です。
間質性肺炎(カンシツセイハイエン)という病気を引き起こし手当が遅れると死亡するという副作用でした。
このような副作用の最初の報告は1989年に1例目が報告され1996年には報告88名死亡者10名でした。
しかしこの薬を飲んでいた患者さんの数は100万人から200万人と推定されており発症率は88ppm因果関係が推定できたものでは33ppm程度と言われています。
(1ppmとは100万人に使用して1人が発病するという確率です。)
インターフェロンは500ppmですし、ブレオマイシンという薬では100,000ppm(つまり10人に1人が病気になる。)です。
ですから薬の専門家の間では現在使われている薬物の中で、最も安全性の高いものの一つであろうと考えられています。
そのような薬をどうしてあのように騒いだのかマスメディアの方々の良識を疑います。もちろん漢方薬にも副作用はありますし、慎重に使用することは当たり前の話です。
実は私も小柴胡湯の成分を含む柴苓湯という漢方薬で間質性肺炎を起こさせた経験があります。
投与開始後、数週間で咳が出始めたのでレントゲン写真を撮影し間質性肺炎の陰影を認めたので直ちに薬を中止し経過を見ました。
4週間ほどできれいに治り全治しました。運が良かったといまでも思います。