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第60段:百姓仕事はつらい |
労働者の作業環境という観点から農作業を見てみましょう。
稲の取り入れの時期には一俵30キログラムの米を担いでおられます。
一般の工場労働者は30キログラム以上の重量物はクレーンで移動させますが、農作業では足場の悪いところで、高齢者がこの作業に従事しています。
以前、三菱自動車・水島製作所(正確な名称を忘れましたが、自動車工場です。)を産業医の研修で見学した際に、「30キログラムの部品を持たせると腰痛が発生するので25キログラム以下にしていますが、それでも腰痛が発生するのでもう少しクレーン作業を増やすか、部品を軽くしなければ行けない。」というような趣旨の話を聞いたことがあります。
工場内という比較的環境の優秀な場所ですら軽くしようと考えておられるのに、農業従事者には労働組合がなく産業医もいないので重労働を強いられています。
農家の方に「一俵を20キログラムにしたら?」と話しましたら「それは嬉しい話ですね。
でも、そんな話は上が聞いてくれない」とのお答えでした。
米俵を1俵20キログラムにしてもらえば、かなりの農業をする人の腰痛からの解放につながると確信しています。
ついでにもう一つ早場米を作らせることにご熱心な方々へ益田市のかなりの田圃は8月中旬から稲刈りが始まりました。
お盆休みの最中からです。
熱い時期に稲刈りです。34〜35℃の気温の中で直射日光にさらされ疲れないはずがありません。
今年も「夏ばて」の方が多かったのです。
労働省は労働者の快適職場を実現するように働きかけていますが、農業の実態を見るとどこが快適なのかと目を疑いたくなります。
稲のイモチ病が発生する前にとか、台風に稲を倒されないように、早く新米を出して値段の高いところで勝負させようとするなど様々な戦略があるのでしょうが、働く人たちに優しい農業にはなっていないようです。
ついでに一言添えると、消費者のための無農薬のためにどれほどつらい作業をしているか消費者は知っているのでしょうか?
おいしいお米を端境期に供給することも農業の戦略として必要でしょうが、農業従事者を大切にする戦略も必要ではないでしょうか?
多くの農作業をしている方々が、最近の作業は「きつく、つらい」と言われます。
農業従事者の高齢化も原因の一つでしょうが、高温環境下での作業が増えたことも原因だと思います。
お盆のころは熱くて仕事にならなくてお休みしていたのが日本の風土です。
その時期に忙しく働かせるのはどうかなと思います。
米も作るが病人も作る農業には未来はないと思いますよ。
快適な農作業環境を考えて見ませんか?
「待合室のおしゃべり」コーナーでご意見をお待ちします。