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心にうつりゆくそぞろごと
「心にうつりゆくそぞろごとを、そこはかとなく書きまぎらわしたるもの」を紹介しようと思い立ちました。
徒然草のごとく「日くらし硯に向かう」ほど暇ではありませんが、「心にうつりゆくよしなしごと」よいうか「そぞろごと」は、いくつも現れてきます。医学書を作るよりもこの方が人間味のある文になるのではないかと思います。
しばらくは「私の心にうつりゆくそぞろごと」とおつき合い下さい・・・

  第83段:除去食とその指導  

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食物アレルギーは多くの誤解を生んでしまいました。
除去食に関する誤った情報が氾濫し、栄養失調の子供さんを診させていただいたこともあります。
食物アレルギーが存在してその治療のために除去食を 必要と判断するのは医師にのみ認められた権限です。
(詳しく知りたい人は別にお問い合わせ下さい。)
素人や医師以外の医療職が除去食の決定や指示をする事は医師法違反になります。

保育園や幼稚園などには除去食を要求しても自宅では「少しずつ慣らしてみよう」と除去すべき食品を食べさせている不届きな親がいるのも事実です。
(乳幼児を預かっておられる複数の関係者から聞いています。)

除去食を指示するときには除去した食べ物の代わりになる食品を指示し、
どの程度の期間でその効果を確かめるのか、そして終了の時期をいつにするのかを明確にしておかなければなりません。

一生食べてはいけないのか?
3ヶ月除去するのか?
半年除去するのか?

いつどのような形で評価をするかを聞いていますか?

ある調査では3歳以上の子供のアトピー性皮膚炎では95%以上は食物アレルギーとは関連がないと断言されています。

私の印象ではアトピー性皮膚炎の子供の内「食物アレルギーが皮膚の症状の悪化に関して主要な原因となっているのは1%以下」です。

たとえ血液検査などで卵白にアレルギーがあるという結果が出ても、卵白を食べさせても皮膚に変化が出ない子供が多く存在しています。

検査結果だけで食品の摂取を禁止する手法には私は反対しています。
チャレンジテストをして食べると悪化、摂取を止めると軽快する事を確かめてから除去食に移行すべきだと考えています。

このあたりの見解は医師により大きく異なります。
このためアトピー性皮膚炎の患者さんやご家族が様々な情報で混乱されていると思います。
当分医師の間でさえも統一見解はまとまらないと思います。
それを良いことにアトピー性皮膚炎の恐怖をあおり一儲けしようとしている方がおられますので、だまされないようにして下さい。

私の所を受診しても少しも改善されなかった方もおられます。
もちろん見違えるほどよくなられた方もあります。
まだまだ勉強させて下さい。

でも99%以上のアトピー性皮膚炎は治りやすく予後の良い疾患なのですが、なんであんなに騒ぐのでしょうか?

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