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2001年6月8日に第33回日本動脈硬化学会において新しい高脂血症(コレステロールが高い人の問題が主体)についてのガイドラインの案が発表されました。
これは5万2千人の高コレステロール患者さんが参加した6年間の日本脂質介入試験の結果、これまでコレステロール値が220以上では心臓病が増えるといわれていたのですが、実際の試験結果では日本人なら240未満なら問題ないことがわかったためです。
これまでは欧米の治療成績を参考にしていたために、食べている魚が多い日本人と、魚が少ない欧米人の食生活を同一とみなしていたためかもしれません。
概算では今回の基準が改定され高コレステロール血症の患者さんは半減する可能性があるとまでいわれています。
新しい基準を紹介します。( )内は今までの基準値です。
■適正域
◇総コレステロール:220未満(200未満)
◇LDLコレステロール:140未満(120未満)
■境界域
◇総コレステロール:220〜239(200〜219)
◇LDLコレステロール:140〜159(120〜139)
■高コレステロール血症
◇総コレステロール:240以上(220以上)
◇LDLコレステロール:160以上(140以上)
総コレステロールはいわゆる善玉・悪玉などのコレステロールの合計
LDLコレステロールは悪玉コレステロールとも呼ばれ、最近はこちらのほうを重視しています。
そして今回の改訂で患者さんの危険因子別のコレステロールの管理目標値が設定されています。
■心臓病の経験なし
◇他の危険因子*0または1個
・総コレステロール管理目標値---140未満
・LDLコレステロール管理目標値--160未満
◇他の危険因子*2個または3個
・総コレステロール管理目標値---200未満
・LDLコレステロール管理目標値--120未満
◇他の危険因子*2個または4個
・総コレステロール管理目標値---180未満
・LDLコレステロール管理目標値--100未満
■心臓病の経験あり
◇他の危険因子*0〜4個
・総コレステロール管理目標値---180未満
・LDLコレステロール管理目標値--100未満
危険因子は@年齢(男性は45歳以上、女性は55歳以上)A高血圧、B糖尿病、C喫煙の4つですが糖尿病は2個と数えます。
心臓病の経験のない46歳の男性でタバコを吸い、糖尿病があればコレステロールに関しては心臓病をしたことがある人と同じ程度の危険度があると解釈してください。
学会の中では異論もあるようですが、多分今年中にこの案のまま正式なガイドラインになるようです。あなたの薬が減るかもしれませんね。
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